オウシュウトウヒ(欧州唐檜、学名:Picea abies)は、マツ科トウヒ属の針葉樹。別名ドイツトウヒ、ヨーロッパトウヒ、ドイツマツ。
ヨーロッパ原産の常緑針葉高木で、アルプスなどの山岳地帯や、スカンジナビア半島の北方針葉樹林の主要樹種である。花期は5月頃。公園や庭園によく植えられている。モミの木などとともにクリスマスツリーとしてもよく使われるが、本来は高さ50 mにも至る高木であり、直径も2 mに達することがある。若木のうちはモミの木と区別が困難であるが、長さが10 cmを超える独特のコーン(球果)とやや固めの葉で区別が出来る。深根性のモミの木に対して、本種は浅根性で移植に対して耐性がある。成長が早く、そのため苗木は安価で流通している。日当たりを好み、乾燥を嫌う。
日本語ではドイツトウヒと呼ばれることがあるが、自然分布としては、ドイツではシュヴァルツヴァルトなど南部の標高の高い一部地域に分布するに過ぎず、英語名Norway Spruceが示す通り、本種の本来の分布の中心は、東ヨーロッパおよび北ヨーロッパにある[2]。ドイツにおけるものは、ほとんどが人為的に植林されたものである。10mを超える高さになると小枝が下側に垂れ下がるようになり、独特の外観となる。生育は容易であるが、酸性雨や排気ガスには弱く、公害の深刻な地域では枯死することがある。寒冷への耐性があり、土壌は選ばない。防風林などにも適しているが、根張りが強くない為に強風で倒れてしまうことがある。また庭木としては大きくなりすぎる為に不向きである。
2008年、スウェーデン・ウメオ大学レイフ・クルマン(Leif Kullman)教授らのチームが、同国ダラルナ(Dalarna)地方で発見されたオウシュウトウヒの樹齢(正確には根の部分の年齢)を約9,550年とする報告を発表した。これは現在確認されている中では世界最長の樹齢である。
材木は、全体的に白色〜淡い黄白色で、辺心材の境目は明瞭ではない。木理はほぼ通直、肌目も緻密で光沢を持つ。やや軽軟で加工性がよく、乾燥による収縮も小さく狂いも少ない。スプルース類の代替材として利用され、建築材、ヴァイオリンの表板やピアノの響板などの楽器用に使われる。耐朽性は悪く、腐りやすい。そのために集成材の原料として使われることが多い。、
また、近年では木肌が白くて美しく、木特有の匂いも少ないことから、蒲鉾板や棺おけ、卒塔婆の材料として日本に輸出されている。
オウシュウトウヒ(欧州唐檜、学名:Picea abies)は、マツ科トウヒ属の針葉樹。別名ドイツトウヒ、ヨーロッパトウヒ、ドイツマツ。