タテガミオオカミ(鬣狼、Chrysocyon brachyurus)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科タテガミオオカミ属に分類される食肉類。本種のみでタテガミオオカミ属を構成する。
アルゼンチン北部、パラグアイ、ブラジル中部以南、ペルー南東部、ボリビア東部[1][2][3]
南米のイヌ科動物の最大種。オオカミと名が付くが、オオカミよりはキツネに近い動物[4]で体長122.5-132センチメートル[2]。尾長27.5-45センチメートル[2]。肩高72-90センチメートル[2]。体重20-23キログラム[2][3]。頚部背面の体毛が伸長して鬣状になり[2][3]、名前の由来とされる[1]。背面の毛衣は赤褐色[2]。吻や鬣、四肢の毛衣は黒く、耳介内側や喉、尾先端の毛衣は白い[1][2]。
耳介は大型で[2]、聴覚が優れている。上顎の門歯や第4臼歯は小型で、犬歯は細長い[2]。四肢は長く、茂みの中を歩くのに適している[2]。第3指と第4指の指球が基部で癒合する[1][2]。
出産直後の幼獣は体重0.3-0.4キログラム[2]。幼獣の毛衣は尾先端が白いものの黒く[1]、生後約70日で淡赤褐色になる[2]。
低木が点在する草原、沼沢地などに生息する[2][3]。夜行性[2]。27-31平方キロメートルの行動圏内で生活し、ペアで行動圏を共有する[1][2][3]。単独で生活するが、繁殖期はペアで生活する[1][2][3]。同側の四肢を一緒に動かして移動(側対歩)する[2]。
食性は雑食で、小型哺乳類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、陸棲の貝類、果実などを食べる[2][3]。聴覚を使って獲物を探して忍び寄り、跳躍して捕える[1][2]。
繁殖形態は胎生。妊娠期間は62-66日[2]。8-10月に1回に2-5頭の幼獣を産む[2]。授乳期間は15週間[2]。飼育下の観察例では父親が幼獣に獲物を吐き戻して与える[1][3]。幼獣は生後9日で開眼する[2]。生後1年で性成熟するが[3]、初産を迎えるのは生後2年以降[1]。
民話ではニワトリを睨んだだけで殺すことができる動物とされる[1][3]。
開発による生息地の破壊、狩猟、害獣としての駆除などにより生息数は減少、絶滅も心配されている[5][3]。
本種はチーターにも匹敵する脚力の持ち主だと言われる。
しかし短距離を走った後、いちいち立ち止まって安全確認をする習性があるためそのとき人間に突かれて殺されてきたという[6][3]。
現在(2016)考えられている最も有力な、タテガミオオカミが減っている理由は、ブラジル周辺の著しい森林破壊である。(IUCN) また生息地を探すために移動をしている際に車との衝突、ほかの動物との接触、病気、悪質なアニマルハンティング等が理由と考えられている。