ビントロング(Arctictis binturong)は、ジャコウネコ科に分類される食肉類。本種のみでビントロング属を構成する。別名クマネコ(熊猫)、クマジャコウネコ。英語ではベアキャット(Bearcat)とも呼ばれる。
インド北部、ネパール、ブータン、ミャンマー北部[1][2][3]
インドネシア(スマトラ島、ビンタン島、クンジュル島)、タイ、マレーシア(マレー半島)[1][2][3]
体長60-97cm[1]。尾長56-89cmとジャコウネコ科最長種[3]。体重9-17kg[3][4]。尾は長く太い筋肉質で、先端を物に巻きつける[4]ことができる[1][2][3]。全身は長い体毛で粗く被われるが[2]、頭部は短い体毛で被われる[3]。耳介背面の体毛は房状に伸長する[2][3]。毛衣は黒く、毛先が白や灰色、黄色、赤褐色[2][3]。耳介の外縁は白く縁取られる[2][3]。
耳介は小型で、丸みを帯びる[1][3]。吻端にある体毛が無く露出した板状の皮膚(鼻鏡)は大型[3]。歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上顎8本、下顎6-8本、大臼歯が上顎2-4本、下顎4本の計36-40本の歯を持つ[3]。盲腸は小型で、ない個体もいる[3]。爪は短くやや湾曲し、不完全ながら引っ込める[1]ことができる[3]。
森林に生息する[1]。単独もしくは数頭からなる小規模な群れを形成して生活する[3]。樹上棲だが、地表に降りたり水中に入ることもある[2][3]。夜行性で、昼間は樹洞などで休む[1][3][4]。休む時には尾を体に巻きつけ頭部を尾の下に入れる[1][3]。
食性は植物食傾向の強い雑食で、主に果実を食べるが、昆虫、魚類、鳥類やその卵、小型哺乳類、ミミズなども食べる[1][2][3][4]。
繁殖形態は胎生。周年繁殖する[3]。妊娠期間は84-99日[3]。1回に1-6頭(主に1-3頭)の幼獣を産む[3]。生後6-8週間で固形物も食べることができるようになる[3]。生後2年半で性成熟する[3]。
種小名biturongや和名、英名はマレー語で本種を指す呼称に由来する[3]。 毛皮、ペット目的の乱獲、開発や森林伐採による生息地の減少により数が減っている。