インドサイ(Rhinoceros unicornis)は、奇蹄目サイ科インドサイ属に分類される奇蹄類。インドサイ属の模式種。
体長310 - 420センチメートル[4]。尾長60 - 80センチメートル[4]。肩高170 - 200センチメートル[4]。体重1,500 - 3,500キログラム[4]。メスよりもオスの方がやや大型になる[4]。耳介の外縁や尾の先端を除いて、体毛はない[4]。皮膚は分厚く、肩や腰、四肢の基部では襞状になる[4]。皮膚には鋲のような隆起が点在する[4]。体色は暗灰色で、襞の縁はピンク色を帯びる[4]。
頭部は長い[4]。頭部には1本のみ30 - 60センチメートルの角がある[4]。種小名unicornisは「1つの角がある」の意。下顎の犬歯が発達する[4]。
出産直後の幼獣は体重55 - 70キログラム[4]。
沖積平野にある丈の長い草原や沼沢地に生息するが、河川沿いにある低木林や乾燥林などにも生息する[4]。通常は単独で生活する[4]。縄張りには通路があり、この通路に侵入した他個体は攻撃される[4]。角ではなく下顎の犬歯を使い攻撃する[4]。水場は複数の個体が共有するが、争うことはない[4]。行動圏内の水場などの決まった場所に糞をし、高さ70センチメートルまで積み上がることもある[4]。
食性は植物食で、草や木の枝、果実、ホテイアオイなどの水生植物、タケノコなどを食べる[4]。
繁殖様式は胎生。妊娠期間は462 - 491日[4]。1回に1頭の幼獣を産む[4]。子が生まれると次の子を産むまで母子で行動するが、子が2歳を迎えた頃から発情期に入る。飼育下ではオスが生後7 - 9年、メスが5 - 7年で性成熟した例がある[4]。飼育下での最高寿命は47年[4]。
角は解熱剤・強精剤・エイズの薬の原料になると信じられている[4]。
農地開発や放牧による生息地の破壊、外来種による植生の変化、角目的の乱獲やスポーツハンティングなどにより、生息数は1900年代初頭には約200頭まで激減した[2]。保護の対象とされているが、角目的の密猟は継続されている[2]。パキスタンでは1983年にペアが再導入されたが失敗している[2]。生息数は漸増傾向にあり1960年代における生息数は600 - 800頭、1970年代における生息数は1,000 - 1,100頭、1990年代における生息数は約2,000頭、1997年における生息数はインド約1,600頭・ネパール約500頭と推定されている[4]。ネパールでは2000年の生息数は612頭まで増加したが、その後密猟により激減した[2]。2007年における生息数はインド2,200頭、ネパール378頭と推定されている[2]。 1905年に本種の保護のため設立されたインドのカジランガ国立公園での1997年における生息数は1,164頭(±134頭)、1999年における生息数は1,551頭、2006年における生息数1,855頭と推定されている[2]。ネパールのチトワン国立公園での2000年における生息数は544頭だが、政情不安による密猟の横行から生息数が激減し2005年における生息数は372頭と推定されている[2]。
アジアに分布するサイでは主に本種が動物園で展示される。日本では多摩動物公園が初めて本種を飼育・展示した。飼育下繁殖例は多くはないが、1999年と2003年に東山動物園、2007年に金沢動物園で成功例がある。