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マメジカ ( Japanese )

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マメジカ科(Tragulidae) Mouse-deer Singapore Zoo 2012.JPG
Tragulus kanchil
分類 : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata : 哺乳綱 Mammalia 亜綱 : 獣亜綱 Theria : 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla 亜目 : 反芻亜目 Ruminantia : マメジカ科 Tragulidae 学名 Tragulidae
Milne-Edwards, 1864 英名 Chevrotain

マメジカとは小型の有蹄類の一群のことであり、マメジカ科 (Tragulidae) に属する動物の総称である。現存種の中では、マメジカ下目 (Tragulina) はマメジカ科のみで構成される。マメジカ(豆鹿)という和名であるが、反芻亜目の中でもシカ科とはそれほど近縁ではない。他のマメジカ科は3属10種の現存種で構成されている[1][2]。その他にも、化石でのみ発見されている種がいくつか存在する[3]。マメジカ科の現存種は概ね南アジアや東南アジアの森林で見られる。ただミズマメジカは中央アフリカや西アフリカの熱帯雨林に生息する[4]。マメジカは単独またはペアで生活し、もっぱら植物質しか食べない[4]。アジアに生息するマメジカは重さ0.7~8.0 kgで、最も小さい種は世界最小の有蹄動物にあたる[4]。アフリカのマメジカはかなり大きく、重さ7~16 kgほどである[5]

属名の「トラグルス」はギリシャ語ヤギに似たもの、英名で使われる「Chevrotains」はフランス語で小さなヤギを意味する。同じく英名「マウス・ディア」は<ネズミジカ>の意味である。[6]

生物学[編集]

マメジカは漸新世(3400万年前)から中新世(500万年前)にかけて生息域を広げ、繁栄したと考えられているが、その間彼らは形態をほとんど変えず、反芻動物の原始的形態の典型を残している。ウシなどの反芻動物は丈夫な植物質を発酵させるために4室の胃をもっているが(詳細は反芻を参照)、マメジカはそのうち第三胃(葉胃)が未発達である。それでも大部分のマメジカは植物しか食べない。ただしミズマメジカは時々昆虫やカニ類を食べ、死体あさりをして肉や魚を口にすることがある[7]。他の反芻動物と同様にマメジカは上顎切歯を欠く。

マメジカの残すもう一つの原始的な部分として、ブタのような非反芻動物に近い特徴をもつことが挙げられる。マメジカ科に属する全ての種には角がないが、雌雄ともに長い犬歯を持つ。特にオスにはその特徴が顕著で、彼らは下顎の両側に突き出した犬歯を闘争に用いる[4]。足はほっそりしていて短く、それほど敏捷に動くことはできない。しかし体が小さいので、彼らが棲み家にするような藪の中は楽に走り抜けることができる。ブタのような動物に似ているその他の部分としては、顔に臭腺が無いこと、小臼歯の冠部が細いこと、性行動や性交の様子などがある[8]

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マメジカの交尾

マメジカは単独、あるいはパートナーと生活する[4]。種によってある程度の違いはあるが、子供は約3ヶ月で離乳し、5から10ヶ月の間で成熟する。両親が面倒をみることは限られる。彼らには他の反芻動物が持っているような類の臭腺は無いが、顎先の腺で仲間かそうでないかを見分ける。ミズマメジカの場合は肛門腺包皮腺を自身の縄張りマーキングに用いる。テリトリーは比較的小型で13~24ヘクタールほどである。隣人同士で積極的に抗争することは少なく、互いに無関心でいることが多い[8]

一部の種は水が得意である。彼らは、捕食者や、その他歓迎できない侵入者が接近した時、長い時間潜水することで危機から逃れることができる。このような水に親和性のある小型の偶蹄類がクジラ類への進化の道を辿ったのではないかとも言われている[9]

分類[編集]

Tragulus属は頭蓋測定と毛皮の調査により、2004年に3群6種に分類された。3群とはそれぞれT. javanicus -グループ(T. javanicus, T. williamsoni, T. kanchil)、T. napu -グループ(T. nigricans, T. napu)、そしてT. versicolorである[10]Moschiola属は同じく頭蓋測定と毛皮の調査により、2005年に3種に分類された[2]。10種の現存種は以下のとおり。

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Tragulus kanchil
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Tragulus sp.

絶滅種[編集]

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Dorcatherium.
 src= ウィキメディア・コモンズには、マメジカに関連するカテゴリがあります。  src= ウィキスピーシーズにマメジカに関する情報があります。 Portal:生き物と自然 ポータル 生き物と自然

絶滅種は6属に分類される[3]


以下の属を含めることもある[14][15]

出典[編集]

  1. ^ Wilson, D. E.; Reeder, D. M., eds. (2005). Mammal Species of the World (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. ISBN 978-0-8018-8221-0
  2. ^ a b Groves, C., and E. Meijaard (2005). Intraspecific variation in Moschiola, the Indian Chevrotain. The Raffles Bulletin of Zoology. Supplement 12: 413–421
  3. ^ a b Farooq, U., Khan, M.A., Akhtar, M.and Khan, A.M. 2008. Lower dentition of Dorcatherium majus (Tragulidae, Mammalia) in the Lower and Middle Siwaliks (Miocene) of Pakistan. Tur. J. Zool., 32: 91–98.
  4. ^ a b c d e Nowak, R. M. (eds) (1999). Walker's Mammals of the World. 6th edition. Johns Hopkins University Press.
  5. ^ UltimateUngulate: Hyemoschus aquaticus. Accessed 12 October 2010.
  6. ^ 荒俣宏 世界大博物図鑑 第5巻 [哺乳類] 1988-4-25
  7. ^ Kingdon, J. (1997). The Kingdon Field Guide to African Mammals. Academic Press. ISBN 0-12-408355-2
  8. ^ a b Dubost, G. (1984). Macdonald, D.. ed. The Encyclopedia of Mammals. New York: Facts on File. pp. 516–517. ISBN 0-87196-871-1.
  9. ^ “Aquatic deer and ancient whales”. BBC News. (http://news.bbc.co.uk/earth/hi/earth_news/newsid_8137000/8137922.stm
  10. ^ Meijaard, I., and C. P. Groves (2004). A taxonomic revision of the Tragulus mouse-deer. Zoological Journal of the Linnean Society 140: 63–102.
  11. ^ E. Thenius 1950. Über die Sichtung und Bearbeitung der jungtertiären Säugetierreste aus dem Hausruck und Kobernaußerwald (O.Ö.) in Verh. Geol. B.-A. 51/2, pp 56
  12. ^ Israel M. Sánchez; Victoria Quiralte; Jorge Morales; Martin Pickford (2010). “A new genus of tragulid ruminant from the early Miocene of Kenya”. Acta Palaeontologica Polonica 55 (2): 177–187. doi:10.4202/app.2009.0087. http://www.app.pan.pl/archive/published/app55/app20090087.pdf.
  13. ^ Métais, G., Chaimanee, Y., Jaeger, J.-J. & Ducrocq S (2001). “New remains of primitive ruminants from Thailand: Evidence of the early evolution of the Ruminantia in Asia”. Zoologica Scripta 30 (4): 231. doi:10.1046/j.0300-3256.2001.00071.x. オリジナルの2011年7月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110722000705/http://www.thaiscience.info/Article%20for%20ThaiScience/Article/5/Ts-5%20new%20remains%20of%20primitive%20ruminants%20from%20thailand%20evidence%20of%20the%20early%20evolution%20of%20the%20ruminantia%20in%20asia.pdf.
  14. ^ Terry A. Vaughan,James M. Ryan,Nicholas J. Czaplewski (2011-04-21). Mammalogy (5th ed.). ISBN 9780-7637-6299-5. http://books.google.com/?id=LD1nDlzXYicC&pg=PA347&lpg=PA347&dq=Krabitherium#v=onepage&q=Krabitherium&f=false 2012年4月4日閲覧。.
  15. ^ Sánchez, Israel M.; Quiralte, Victoria; Morales, Jorge; Pickford, Martin (2010). “A New Genus of Tragulid Ruminant from the Early Miocene of Kenya”. Acta Palaeontologica Polonica 55 (2): 177. doi:10.4202/app.2009.0087.
  16. ^ Paleobiology Database: Krabitherium. Paleodb.org. Retrieved on 2013-01-18.
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マメジカ: Brief Summary ( Japanese )

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マメジカとは小型の有蹄類の一群のことであり、マメジカ科 (Tragulidae) に属する動物の総称である。現存種の中では、マメジカ下目 (Tragulina) はマメジカ科のみで構成される。マメジカ(豆鹿)という和名であるが、反芻亜目の中でもシカ科とはそれほど近縁ではない。他のマメジカ科は3属10種の現存種で構成されている。その他にも、化石でのみ発見されている種がいくつか存在する。マメジカ科の現存種は概ね南アジアや東南アジアの森林で見られる。ただミズマメジカは中央アフリカや西アフリカの熱帯雨林に生息する。マメジカは単独またはペアで生活し、もっぱら植物質しか食べない。アジアに生息するマメジカは重さ0.7~8.0 kgで、最も小さい種は世界最小の有蹄動物にあたる。アフリカのマメジカはかなり大きく、重さ7~16 kgほどである。

属名の「トラグルス」はギリシャ語ヤギに似たもの、英名で使われる「Chevrotains」はフランス語で小さなヤギを意味する。同じく英名「マウス・ディア」は<ネズミジカ>の意味である。

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