ジャケツイバラ(蛇結茨、学名:Caesalpinia decapetala var. japonica)は、マメ科ジャケツイバラ亜科[2]のつる性の落葉低木の植物。
高さ1-2 mになるつる植物で、茎と葉軸の裏面に鋭く丈夫な逆刺をもつ。若い茎には柔らかい毛を生じるが、後に無毛となり、棘は次第に強く発達する。
葉は二回偶数羽状複葉で、全体の長さが20-40 cmにもなる。3-9対の羽片にはそれぞれに5-10対の小葉を並べる。小葉は長さ1-2 cmの楕円形で、鮮やかな緑。表面には細かな毛があり、裏面は白っぽくなる。
5-6月にかけて長さ約30 cmにもなる花序が葉の上に屹立するために遠くからでもよく目立つ。萼は黄緑色で5片からなる。花そのものは径25-30 mm、鮮やかな黄色、。5枚の花弁は大きく開くがわずかに左右対称、上1枚は小さく赤い筋が入る。雄しべは赤く、花糸の中央より下に白い毛が密生する。通常、雌しべは10本の雄しべに包囲され、外からは見えにくい。
ユーラシア大陸東部の暖温帯に分布し、日本では宮城県以南の本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
沿岸部から高原の崩壊した跡、伐採跡、川岸、林縁などの日当たりの良い場所に自生する。開花期にはハチなど多くの昆虫が集まる。
漢字表記では「蛇結茨」であり、枝がもつれ合うさまからヘビ同士が絡み合っているように見えることから命名された。
学名の属名はイタリア法王クレメンス8世の侍医もつとめた医者、哲学者、植物学者であり『植物分類体系』(1583)を著したアンドレア・チェザルピーノの名に因んでいる(ラテン語のつづりでは Caesalpinus)。種小名のdecapetalaは、10の花弁をもつという意味だが、実際は5つしかない。
なお、学名については北村・村田 (1979) はCaesalpinia decapetalaを取っており、Ylist([1])も広義としてこの和名にこの学名を当てている。北村らは日本産が古くに中国から移入されたものに由来する可能性を示唆している。
ジャケツイバラ属は世界の熱帯に120種以上があり、日本ではこの種のみが普通である。他にナンテンカズラが九州以南の南西諸島に分布するが、これは常緑であり、照葉につやがあって大きいことからたやすく区別できる。南西諸島には、このほかにシロツブなどが分布する。
日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[3]。