イシナギ科(学名:Polyprionidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群(科)の一つ。2属からなり、オオクチイシナギ・コクチイシナギなど4種が含まれる[1]。
イシナギ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋・大西洋・インド洋の沿岸から沖合にかけて分布する[1]。若魚は浅海で成長するが、次第に深みに移行し、成魚は深海(水深200m以深)で生活する種類が多い[2]。海底付近で暮らす底生魚で、岩礁域を主な生息場所としている。日本近海からはイシナギ属の2種が報告されている[3]。
体型は紡錘形で、一般に非常に大きく成長し、最大で全長2.5mに達する[2]。鰓蓋骨の背側に水平な棚状の構造をもち、先端は短い1本のトゲとなっていることが大きな特徴である[1]。
背鰭は11-12本の棘条と、11-12本の軟条で構成される[1]。科名(模式属名)はギリシア語で「poly(多くの)」+「prion(のこぎり)」を意味し、強靭でよく目立つ背鰭棘条に由来している[2]。側線はよく発達し、途切れることなく連続的である[2]。
イシナギ科にはNelson(2016)の体系において2属4種が認められている[1]。
スズキ亜目内部における本科の位置付けは安定していない。かつてはカワリハナダイ科やハタ科と近縁と考えられ、鰓蓋骨のトゲの本数などで鑑別されていた[4]。近年ではヤセムツ科およびスズキ科(スズキ属 Lateolabrax のみ、1属2種からなる)との類縁が示唆されており、特にスズキ科は予備的な分子系統解析において、本科に取り込まれる可能性が指摘されている[1]。