フクロウナギ(袋鰻、英:Pelican eel)は、フウセンウナギ目フクロウナギ科に属する魚類。フクロウナギ科は1科1属1種の単型である。
フクロウナギは大西洋・インド洋・太平洋の温帯〜熱帯域など世界中の温暖な海に分布し、主に水深550-3,000m[1]の中層に暮らす深海魚である。日本では宮城県〜高知県などの太平洋側で見られるが、特に小笠原諸島近海の水深1200m-1400m付近では比較的普通に見られるという。
海底から離れた中層を不活発に漂って生活する、遊泳性深海魚の1種である。餌は主に甲殻類などのプランクトンで、小型の魚類や頭足類も捕食するとみられている[2]。
最大全長100 cm[2]。口は非常に大きい。両顎には多数の微小な歯が並び、目は小さく頭の先端近くにある[1]。背鰭の起点が頭部に位置することが、近縁のフウセンウナギとの明瞭な鑑別点となる[1]。尾部は細長く、尾鰭を欠く。尾部の先端には発光器が存在し、ルアーのように用いて餌をおびき寄せる可能性がある。外鰓孔は小さい。
他のフウセンウナギ目の仲間と同様、接続骨・鰓蓋骨・鰓条骨・肋骨を欠き、鱗・幽門垂・鰾(うきぶくろ)などを持たない。ウナギ目などカライワシ上目の魚類に共通する特徴として、レプトケファルス幼生(葉形幼生)期を経て成長する。
属名Eurypharynxはギリシア語の eurys 「広い」および pharynx 「のど」に由来し、巨大な口腔を表現したもの。属名からユーリファリンクス、あるいはマクロファリンクス(Macropharynx:makros(ギリシア語:長い)+ pharynx)[注 1]と呼ばれることもある。種小名pelecanoidesは「ペリカンのような」の意で、口の形状に由来する。
フクロウナギ科は1科1属1種で、フクロウナギ E. pelecanoides のみを含む。その奇妙な形態から、かつては硬骨魚類ではないと考えた研究者もいた[3]。2000年代に行われたミトコンドリアDNA解析では、本科および他のフウセンウナギ目魚類はウナギ目の内部に分岐し、特にシギウナギ科・ノコバウナギ科・ウナギ科に近縁であることが示唆されている[4][5]。
側線器官
フクロウナギ(袋鰻、英:Pelican eel)は、フウセンウナギ目フクロウナギ科に属する魚類。フクロウナギ科は1科1属1種の単型である。