オオルリボシヤンマ(大瑠璃星蜻蜒、学名:Aeshna crenata Hagen, 1856)は、ヤンマ科 ルリボシヤンマ属に分類されるトンボの1種 [3]。従来、学名:Aeshna nigroflava Martin, 1909の日本固有種 [4]とされていたが[5][6]、DNA解析などにより、Aeshna crenataに含められるようになった[3]。
ユーラシア大陸のヨーロッパ、ロシア、朝鮮半島から日本にかけて分布する[3]。
日本では、北海道、本州、九州に分布する[注釈 1][3][4][注釈 2][5]。南西に行くほど生息域の標高は高くなり、鹿児島県の霧島山にも生息する[6]。
日本最大級の大型のヤンマで、近縁のルリボシヤンマよりやや大型[7]。オスは全長76-94 mm、腹長53-67mm、後翅長49-60 mm、メスは全長76-93 mm、腹長54-69mm、後翅長50-63 mm[3]。オニヤンマの黄色の斑紋を瑠璃色に置き換えたような形態[8]。オスは成長すると斑紋が青色となり、メスには斑紋が青色と緑色の2種類のタイプがある[3][8]。胸部の斑紋の上端が後方へ伸びる個体が多く、腹部の第3-6節の前端に細い環状の淡色斑紋がある[3]。オスの尾部付属器の外縁は直線状で丸みが少なく、上付属器背面に小突起が並ぶ[9]。メスの尾毛は細く、外縁は直線状[9]。
ルリボシヤンマとの見分け方は大きさの他に、本種の方がやや青っぽい個体が多い事や、胸部側面の黄色模様の形状にあり、上部から横にはみ出ている部分が太いのが本種で、ルリボシはやや細い。
幼虫(ヤゴ)は全長約48mm[10]。複眼は前側方に張り出し、体斑はルリボシヤンマより明瞭なことが多く、側棘が第6-9節にある[10]。
平地から山地にかけて周囲に樹木がある抽水植物や浮葉植物が生育する池沼 [5]、高層湿原[11]、高山の池塘に生育する[10]。比較的寒冷な場所の開けた池や湿地 [4]を好む[8]。ルリボシヤンマと比べてより低地にも生育する[4]。
卵期間は6-8か月程度[3]。幼虫期間は1-3年程度で(2-4年1世代)、1年目は卵で越冬し、2年目以降は幼虫で越冬する[3]。成虫は7月下旬頃から10月中旬ごろに出現する[3][5]。成熟したオスは日中、池沼の上を広く緩やかに飛び縄張りを持つ[10]。メスが水辺に現れるとオスは執拗に追い、連結に至ることは稀で、連結しても交尾拒否をすることが多い[10]。交尾が成立すると周辺の樹木の上で静止する[10]。水辺の岸に生えている草や水面の枯れ木などに産卵する[8]。
国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。
日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[12]。生息地が局所的で[13][14]、絶滅が危惧されている地域がある[15]。