ブッシュバック属 (Tragelaphus)は、哺乳綱鯨偶蹄目(クジラ偶蹄目)ウシ科ウシ亜科の属。上にブッシュバック亜科を置くこともある。シタツンガやクーズーをそれぞれシタツンガ属、クーズー属に分ける場合もある。主にアフリカに生息。
ブッシュバックは体高70cm程度の中型の種で、雄は鬣と20cm前後の角を有する。サハラ以南のアフリカ(セネガル、ソマリア、アンゴラ、ケープなど)の森林や藪に主に生息し、白い縦縞の文様などから以下の28亜種が認められている[1]。
ニアラはマラウイ、アンゴラなどの沼地に生息している種で、体高120cm、体長150cm前後の中型で、雄は80cmを超える長い角を持つ。茂みの深いところにハーレムを形成して少数頭で生息する。亜種は認められていない。
マウンテンニアラはニアラにくらべて体高120cm、体長200cmとかなりの大型種。雄が持つ角も120cmあり、1回から2回ほど捩れている。1908年にエチオピア南部のサハツ山、標高2700mで発見された。乾期になるとさらに高地へ移動し、4200m前後に分布する。ニアラと同じくハーレムを形成する。シダモからハラールにかけての山岳地帯に生息する。亜種は認められていない。
シタツンガはニアラに似た種であるが、硬毛を持ち、雄の有する角は1回から2回捩れている。セネガル、エチオピア、スーダン、タンザニア、カメルーン、コンゴ、ジンバブエ、ザンビアなどの葦やパピルスなどの茂る沼地に生息する。ハーレムを形成する場合と、1対の場合と両方が確認されており、大きな群れは形成しない。
クーズーはヨーロッパに生息するアカシカに似た種で、180cmを超える角を持つ大型種。山地や石の多い藪地などに小さな群れまたはハーレムを形成して生息する。ソマリア、エチオピア、スーダン、ケニア、コンゴ、アンゴラなど広域に分布。
体つきはクーズーに酷似しているが小型で、雄は80cm程度の角を有する。ソマリア、エチオピア、タンザニア、ケニアなどの乾燥地帯に生息する。