アライグマ回虫(アライグマかいちゅう、アライグマ蛔虫、学名:Baylisascaris procyonis)とは、アライグマを宿主とする回虫の1種。
成虫は円筒形で、長さが雄 9-11cm 、雌 20-22cm あり、アライグマの小腸に寄生する。人間に感染した場合には、脳に達して急性障害を発生させ死に至らしめる。1日あたり10万個を超える膨大な卵を体外へ放出することで知られ、飼育環境下で発生した場合の周辺環境、特に人体への影響は大きい。
アメリカ合衆国では、1981年以降に12例の発症が報告され、うち3名(いずれも小児)が死亡している。発生例自体希少であるため、看過されている可能性はある。日本での発症例、野生アライグマからの検出例ともには報告されたことはない(動物園等で飼育されているアライグマからの検出事例はある)。アライグマに関して言えば、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律により輸入、飼育が制限されており、アライグマが原因となる拡大は懸念される状況にはないが、飼育されているウサギから発見されたこともあり、今後は、アライグマ以外での動物においての発生状況及び輸入個体のチェックが必要になると考えられている。