カツオノエボシ(鰹の烏帽子、学名:Physalia physalis、英名:Portuguese Man O' War)は、クダクラゲ目カツオノエボシ科 Physaliidae に属する刺胞動物。猛毒をもち電気クラゲの別名があり、刺されると強烈に痛む。刺されたヒトの死亡例もある。
ヒドロ虫の仲間に属し、英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなどのいわゆるクラゲとは異なる。1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体である。
太平洋、大西洋、インド洋に広く分布している。日本では本州の太平洋沿岸でよく見られる。カツオが到来する時期に海流に乗ってきて、浮き袋の見た目が烏帽子に似ていることから三浦半島や伊豆半島でカツオノエボシと呼ばれるようになった。
英名の Portuguese Man O' War は「ポルトガルの軍艦」の意。海上に出ている部分が、帆を張ったポルトガルのキャラベル船に似ていることから名前が付けられた。また、その毒性の強さから Floating Terror とも呼ばれる。
外見の特徴として大きさ約10cmほどの透き通った藍色の浮き袋をもつ。中には気体(主に二酸化炭素)が詰まっており、これで海面に浮かぶ。浮き袋は常に膨らんでいるわけではなく、必要に応じてしぼみ、一時的に沈降することもある。また浮き袋には三角形の帆があり、風を受けて移動することができる。カツオノエボシ自身には遊泳力はほとんどない。
浮き袋から海面下に伸びる触手は平均10cm程度、長いもので約50cmにも達する。触手が何らかの刺激を受けると、表面に並んでいる刺細胞から刺胞が発射される。刺胞には毒が含まれ、獲物の小魚や甲殻類を殺して食べる。また敵から身を守る防御の役割もある。なお、エボシダイはカツオノエボシの毒に対する耐性を持つ時期があり、その間はカツオノエボシの触手を住処として共生することがある。
クダクラゲに共通の特徴であるが、カツオノエボシ1個体に見えるものはヒドロ虫が多数集まって群体を形成したものである。1つ1つのヒドロ虫は個虫などと呼ばれ、触手になるもの、ポリプになるもの、刺胞嚢になるものなどそれぞれに役割がある。個虫は互いに融合して体壁は一続きになり、内部は栄養や老廃物などを運搬する空洞ができる。
人にとって非常に危険な生物である。触手に強力な毒をもち、刺されると強烈な電撃を受けたかのような激痛がある。患部は炎症を起こして腫れ上がり、痛みは長時間続く。二度目に刺されるとアナフィラキシー(アレルギー反応の一種)を起こし、ショック死する危険がある。
カツオノエボシの触手に触れると、表面にある細胞から刺胞という微小な毒針が発射される。これに含まれる毒が炎症や痛みを引き起こすのである。
カツオノエボシは普段沖合を漂っているが、風によって海岸近くまで吹き寄せられてくることがあり、このとき被害が起きやすい。体は透明で青みがかっているため海の色に溶け込み、遠くから見つけるのは困難である。海面下に垂れ下がっている触手も見分けにくい。
刺されたことによってパニックに陥り溺れることがあるので、まずは落ち着いて岸に戻ることが先決である。その後は体に絡み付いている触手を取り除く。このとき素手で取り除こうとすると二次的に刺されることになるので、海水で洗い流すか、ごく厚手の手袋など手を保護できるものを使う。
なお、台風が太平洋岸にやってくると大洋海面に生活する様々な動物が吹き寄せられ、カツオノエボシも多数打ち上げられることがある。乾燥した本種はきれいな青いプラスチックケースのようになるが、これにさわるのも注意を要する。湿気を吸うとちゃんと刺胞が発射され、生きたものほどではないものの、それなりの痛みを感じる。
応急処置は患部を45°C 程度の湯に浸すか、氷で冷やすかの二通りがある。またアンドンクラゲやアカクラゲなどとは異なる仲間なので、同じ処置が効かない、もしくは逆効果になる場合があり注意が必要である。
カツオノエボシ(鰹の烏帽子、学名:Physalia physalis、英名:Portuguese Man O' War)は、クダクラゲ目カツオノエボシ科 Physaliidae に属する刺胞動物。猛毒をもち電気クラゲの別名があり、刺されると強烈に痛む。刺されたヒトの死亡例もある。
ヒドロ虫の仲間に属し、英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなどのいわゆるクラゲとは異なる。1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体である。