カイサカ(学名:Bothrops atrox)は、クサリヘビ科ヤジリハブ属に分類されるヘビ。有毒。別名Yellow Beard(イエロー・ビヤード)、フェルデランス。
全長は1-2mで、灰色に近い茶褐色の地肌に大きなダイヤのような斑紋が並ぶ。ハブに比べると、体色はやや地味で、落ち葉に隠れると、まったく目立たない。頭は三角形。
本種の毒は非常に強烈で、その主成分は出血毒であるが、大人の男性でもまともに噛まれると20分で死亡するといわれる。一瞬の毒の注入で、人の致死量の数十倍もの毒を体内に撃ち込むことができるため、本種は中南米では最も危険な毒蛇といわれる。 また、ある死亡事故の例では被害者の傷口を洗った人が、指先に小さな傷が付いていたためにそこから毒が体内に侵入し翌朝死亡するという、もらい毒による死亡例も起きている。
おもに森林地帯に生息し、地上でも樹上でも活動する。また、畑や果樹園などのプランテーションにも侵入し、人が噛まれる被害が多い。鼻のすぐ下にあるピット器官で獲物を見つけると、目にもとまらぬ速さで毒牙を獲物に突き刺し、一瞬で毒を撃ち込む。そして次の瞬間には元の体勢に戻って、次の攻撃に備えている。
ブラジルのサントス沖には、本種とは別種ではあるが、同属のBothrops insularis(golden lancehead)が多数生息している通称スネーク・アイランド(Ilha da Queimada Grande)がある。