兎形目[2]
科ウサギ目(ウサギもく、Lagomorpha)は、哺乳綱に含まれる目。
北半球を中心に、南極大陸や離島を除く世界中の陸地に分布している。オーストラリア大陸やマダガスカル島には元々は生息していなかった。
全身は柔らかい体毛で被われる[1]。耳介は大型で、本目内では耳介があまり発達しないナキウサギ科でも他の哺乳綱の分類群と比較すると大型[1]。
眼は頭部の上部側面にあり広い視野を確保することができる[1]。鼻には縦に割れ目があり、上部の皮膚を可動させることで鼻孔を開閉することができる[1]。門歯は発達し、一生伸びつづける[1]。上顎の門歯の裏側に楔形の門歯がある[1]。盲腸は長い[1]。尿と糞は1つの穴(総排泄口)から排出する[1]。
目名Lagomorphaはギリシャ語で「ウサギ型」を意味する[1]、「(λαγος (lagos) + μορφή (morphē)」からきている。つまり、「ウサギ目」は(たとえばネコ目などと違い)1980年代以前から使われている翻訳語である(ただし古くは兎目と書くこともあった)。日本哺乳類学会では兎形目という目名を用いるべきとする提案もある[2]。
門歯が伸びつづける事から以前はネズミ目(齧歯目)に含まれていたが、上顎門歯の裏側にある楔形門歯などの特徴から本目を独立した目として分割された[1]。系統的に齧歯目に近いのは事実であり、ともにグリレス大目に属する姉妹グループである。
始新世前期の約50,000,000年前に出現したと考えられている[1]。
現生種は2科11属約60種に分かれる。
草原、半砂漠地帯、熱帯雨林、雪原、岩場などの様々な環境に生息する[1]。
食性は植物食で、草本、木の葉、樹皮、果実などを食べる[1]。一方で陸棲の巻貝や昆虫を食べる種もいる[1]。一部の栄養素を摂取するため、軟便を食物と一緒に胃で攪拌し再び腸から栄養を摂取する[1]。
繁殖形態は胎生。繁殖力が強く、交尾によって排卵(誘導排卵)する。出産して直後に妊娠する(出産後妊娠)ことが可能で、一部の種では妊娠中に、再び妊娠する(重複妊娠)ことも可能である[1]。妊娠期間も短く30 - 40日[1]。
生息地では食用とされることもあり、食用に養殖されることもある。
アナウサギはペットとして飼育される事もあり(カイウサギ)、小型種のネザーランド・ドワーフなど、数多くの品種が作り出されている。アナウサギは人為的に世界各地に移入され、各地の植生を破壊したり移入先に分布する動物の競合などが問題となっている。開発による生息地の破壊などにより生息数が減少している種もいる。