タマシロオニタケ(球白鬼茸、学名:Amanita sphaerobulbosa Hongo)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のきのこ。猛毒菌として有名。
夏から秋にかけてブナ、ミズナラ林やアカマツ、コナラ林、シイ、カシ林などの林内地上に発生する。シロオニタケに似るが、根元がカブラ状に膨らむ特徴を持つ。現在のところ分布は日本と北アメリカ東部という離れた2つの地域のみで確認されている。傘は径3~7cmで半球形~丸山形~まんじゅう形~平形、表面粘性無く全面に小さなイボを散在し、脱落しやすい。柄は8~14×0.6~0.8cmで上下同径で基部は扁球状に膨大、表面綿屑~繊維状の小鱗片に覆われ、ツバは永続性、ツボは粒状で不明瞭。全体的に白色で無味無臭。
毒成分はアミノ酸の2-アミノ-5-クロロ-6-ヒドロキシ-4-ヘキセン酸 (2-amino-5-chloro-6-hydroxy-4-hexenoic acid) [1]、2-アミノ-4,5-ヘキサジエン酸[1]、アリルグリシン[1]、プロパルギルグリシン(シスタチオニンγリアーゼ阻害作用を持つ)と考えられている。アマトキシン類によるものではないが(環状ペプチドについては未調査)、激しい下痢などの典型的なコレラ様症状で、アマトキシン類の中毒の症状と非常に類似する。1978年に長野県ではこのキノコによると思しき2名の死亡例も報告されている。
本種は最初、日本産の標本を基にAmanita sphaerobulbosa Hongoとして記載されたが、その後、北アメリカ産のAmanita abrupta Peckのシノニムとして扱われてきた。しかし、Yangらのタイプ標本を用いた研究によると、胞子や菌糸構造のいくつかの違いから、本種をA. abruptaとは異なる独立種であることを報告しており[2]、本項目の学名はそれに従った。