Abutilon theophrasti
Abutilon abutilon
イチビ(学名:Abutilon avicennae)はアオイ科の一年草。別名、キリアサ(桐麻)、ボウマ(莔麻)。かつては繊維をとるために広く栽培されたが、現在ではもっぱら雑草として知られる。
アジア、南ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア、北アメリカといった世界中に広く移入分布している外来種でもある[2]。日本にも1905年に初めて定着が確認された[2]。
高さは1.5mほどで全体に異臭がある。葉は心臓形から円形で表面に白い毛が密生する。夏から秋にかけて径2cmほどの黄色の花が葉腋から上向きに咲く。果実は半球形で、11~16の分果が環状に並んでおり、熟すると縦に裂ける。腎臓型の種子は茶色で、毛が密生する。種の皮は硬いため20年近くにわたって発芽能力を保持する。そのため、一度地面に落ちると何十年にも亘って発芽し続ける(シードバンク)。
日本でも平安時代には既に栽培され江戸時代まで利用されていた。かつて栽培されたものは山村などで野生化しているのが見られるが、果実は黄白色に熟する。近年畑や空き地の雑草として急に増えてきたが、これは果実が黒くなり、遺伝的にも在来種と異なることが示されている。アメリカから飼料などに混って最近侵入し、繁殖力が強いため短期間で増えたと考えられている。
北アメリカでは畑の難防除雑草として問題になり、また牛の飼料に多量に混入すると牛乳に異臭がつくといった被害が出ている。アレロパシー作用もあり、イチビの侵入によりダイズやワタなどの作物の収量が大幅に減少するという。
日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。また、外来生物法により要注意外来生物に指定されている。